jfUNUレクチャー・シリーズ (2) 平和と開発のための教育 アジアの視点から

内田孟男 編

地球規模の課題を調査研究、世界に提言し、それに携わる若い人材の育 成に尽力する国連大学。その活動を支援する国連大学協力会(jfUNU)のレクチャー・シリーズ(2)はアジアの視点から の「平和と開発のための教育」。(2010.3)

定価 (本体1,400円 + 税)

ISBN978-4-87791-205-5 C1032 155頁

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目次

著者紹介

秋月弘子 (Hiroko Akizuki)
亜細亜大学国際関係学部教授。国際基督教大学大学院行政学研究科博士課程修了(学術博士)。1987–1989年、国連開発計画(UNDP)プログラムオフィサー、2005–2006年、コロンビア大学客員研究員。日本国際連合学会理事・編集主任。著作に(単著)『国連法序説』(国際書院、1999年)、(共著)『国際法入門(第2版)』(有斐閣、2005年)、『(改訂版)国際関係法』(放送大学教育振興会、2006年)、『新国際機構論』(国際書院、2005年)、『国連による平和と安全の維持: 解説と資料第1巻、第2巻』(国際書院、2000年、2007年)、「開発援助政策の国際的動向」『主要先進国における海外援助の制度と動向に関する調査』(参議院外交防衛委員会調査室、2008年)。
内田孟男 (Takeo Uchida)
中央大学教授。国連大学客員教授。国際基督教大学卒業。フレッチャー法律外交大学院にて博士号取得。ユネスコ本部社会科学局プログラム・スペシャリスト、および国連大学学術審議官として勤務の後、中央大学に移り現在に至る。日本国際連合学会運営委員、国連システム学術評議会(ACUNS)の理事(2001–2003)を務める。専門は国際公共政策、国際機構、国際政治。最近の著作には「国際機構と知的協力」『国際機構と国際協力』(三省堂、2001年)、「国連事務総長の紛争解決における役割の変遷」『国連の紛争予防・解決機能』(中央大学出版会、2002年)、「国際テロリズムと国連」『法学新報』(2003年)、『グローバル・ガバナンスの理論と政策』[編著者](中央大学出版会、2004年)、「東アジアにおける地域ガバナンスの課題と展望」『アジア共同体への道』(中央大学出版部、2006年)などがある。
勝間靖 (Yasushi Katsuma)
早稲田大学教授。早稲田大学では、国際学術院で学術院長補佐・教授、大学院アジア太平洋研究科で国際関係学専攻主任、グローバル・ヘルス研究所で所長を務める。また、日本国際連合学会に事務局長(理事)、日本平和学会に編集委員長(理事)、国際開発学会に広報委員長(常任理事)、日本国際保健医療学会に代議員として貢献。ホンジュラスでの英国ボランティア・プロジェクト参加とカリフォルニア大学サンディエゴ校留学を経て、国際基督教大学教養学部と大阪大学法学部を卒業後、同大学院で法学修士。海外コンサルティング企業協会においてアジアとラテンアメリカで開発調査に従事した後、ウィスコンシン大学マディソン校でPh.D.取得。その後、国連児童基金(ユニセフ)に入り、メキシコ、アフガニスタン/パキスタン、東京の事務所での勤務を経て、現職。最近の研究関心として、開発への人権アプローチ、グローバル・ヘルスのための国連と企業とのパートナーシップ、ライフスキルを基盤とした保健教育などがある。共編著書として、『国際緊急人道支援』(2008年)がある。
黒田一雄 (Kazuo Kuroda)
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授。スタンフォード大学大学院修士課程、コーネル大学大学院博士課程修了。米国海外開発評議会研究員、広島大学教育開発国際協力センター講師、助教授を経て早稲田大学教授、アジア経済研究所開発スクール客員教授。他に、ユネスコ国際教育計画研究所客員研究員など。日本の文部科学省、外務省、国際協力機構、国際協力銀行などで教育協力政策の形成や実践に携わる。専門分野は教育開発の研究手法、政策評価。日本比較教育学会理事、国際開発学会理事、International Journal of Educational Development, Peabody Journal of Education, 『比較教育学研究』、『国際教育協力論集』などの編集委員。編著に『国際教育開発論――理論と実践』(有斐閣)など。
コーチー・トン (Ko-Chih Tung)
ユネスコ統計研究所アジア太平洋地域アドバイザー。ケルン大学で国際比較社会調査、エセックス大学で統計的コンピュータ・モデリングを学んだのち、ストックホルム大学にて政治学博士号取得。15年間ストックホルム大学で研究を続け、博士課程の教鞭を執るとともに国際エネルギー機関(IEA)科学顧問を務めた。その後スウェーデン国際開発協力庁(SIDA)、世界銀行を経てサハラ砂漠以南地域を中心にアフリカ教育開発連合(ADEA)教育統計ワーキング・グループのサハラ以南区域コーディネーター、「万人のための教育」テクニカル・アドバイザリー・グループ・コーディネーター、ユネスコ・ハラレ事務所長、アフリカ統一機構(Organization of African Unity)キャパシティ・ビルディングアドバイザー、南部アフリカ開発共同体(SADC)テクニカルアドバイザーなどを歴任。スェーデン(SIDA)を拠点に国際開発のキャリアを開始し、その後エチオピア(SIDA、世界銀行)に4年間、パリ(UNESCO)に7年間、ジンバブエ(UNESCO,ADEA)に5年間と拠点を移し、2002年よりタイ・バンコクにて現職。
二村まどか (Madoka Futamura)
国連大学・サステイナビリティと平和研究所、学術研究官・人権と倫理研究部長。同志社大学法学部卒業。ロンドン大学・London School of Economics and Political Science国際関係学修士課程修了(修士)、ロンドン大学・キングスカレッジ戦争学研究科博士課程修了(博士)。ロンドン大学・キングスカレッジ客員研究員、同志社大学嘱託講師を経て、2008年1月より現職。専門は国際関係学、国際戦犯法廷・刑事裁判所、平和構築、移行期の正義。著作に (単著) War Crimes Tribunals and Transitional Justice: The Tokyo Trial and the Nuremberg Legacy (London: Routledge, 2008); 「国際戦犯法廷の目的と機能: ニュルンベルクの遺産と『移行期の正義』の教訓」、大賀哲・杉田米行編『国際社会の意義と限界―理論・思想・歴史』(国際書院、2008); (共編) Dark Histories, Brighter Futures? The Balkans and Black Sea Region— European Union Frontiers, War Crimes and Confronting the Past [Journal of Southeast European and Black Sea Studies, Vol.7, No.3, 2007]; 「アドホック国際刑事裁判所とポスト冷戦時代の国際安全保障」『アジア・太平洋人権レビュー2005: 国際人権法と国際人道法の交錯』(現代人文社、2005年)など。
梁洛輝 (Liang Luohui)
国連大学・サステイナビリティと平和研究所、学術研究官・地球変動とサステイナビリティ。1984年、北京大学地理学部卒業。1987年、中国科学アカデミーより修士号取得。1993年、フィリピン大学で土地利用計画のディプロマを取得。1987–1998年、中国雲南省土地管理局で土地利用計画オフィサーとして活躍、1995–1996年、University of Aberdeen (英国) の名誉研究員を務める。Journal of Mountain Science 編集委員。著作にShifting Agriculture in Asia: Implications for Environmental Conservation and Sustainable Livelihood (co-eds with Saxena, K.G.and Rerkasem, K. 2007)、"Building on traditional shifting cultivation for rotational agroforestry: Experiences from Yunnan, China" (co-authored with L. Shenb, W. Yang, X. Yang, Y. Zhang, Forest Ecology and Management Vol. 257, Issue 10, 2009)など。

まえがき

編者はしがき

本書は、2008年9月18日・19日に東京・青山の国連大学で開催された「jfUNU/UNU ジュニアフェローシンポジウム2008」という表題のシンポジウムの記録です。このシンポジウムはひとつの講演とパネルディスカッション、及び参加者たちのワークショップで成り立っていました。ワークショップの参加者たちの多くは、国連大学が実施する平和と開発に関する研修コースに参加した経験のある若者たちです。したがってワークショップにおいて若者たちは、かつて彼らが学んだこと、その後彼らが体験したこと、そしてこのシンポジウムの当日、新たに得た知識、それらのことを総合的に踏まえて意見を言い、報告をしました。

本書ではこのシンポジウムの構成を踏まえて、「第1部 基調講演と特別寄稿」において、当日、基調講演をされたユネスコのコーチー・トン氏の講演記録を収載するとともに、本書の上梓に際し新たな観点から勝間靖氏と黒田一雄氏に寄稿してもらいました。

コーチー・トン氏はアジア・太平洋地域の教育問題を統計的に分析する専門家であり、勝間氏は、ユニセフなど開発と教育の現場経験を豊富に持つ教育開発の研究者です。また、黒田氏は、長年、発展途上国における教育開発と国際協力や比較国際教育政策を研究テーマとされてきました。「第2部 多面的なアプローチ」では、パネルディスカッションにおける各講師のショートスピーチの記録とワークショップ発表会における若者たちの意見を掲載しました。

なお、シンポジウムの表題は「平和と開発のためのアジェンダ:より良い世界に向けた私たちのイニシアティブ」でしたが、報告書の出版に当たって内容の焦点化を図る意味から、「平和と開発のための教育――アジアの視点から――」という書名にしました。

私たちプログラム委員のメンバーが集まってこの「jfUNU/UNU ジュニアフェローシンポジウム2008」のテーマに向けて考えられるテーマを協議した際、「平和と開発へのアジェンダ」を取り上げるべきだ、という合意に達しました。

元国連事務総長のブトロス・ブトロス=ガリ氏は1990年代半ばに平和へのアジェンダと開発へのアジェンダ、それぞれに関する有名な報告書を発表しています。私たちは、この二つのテーマを組み合わせたかったのです。平和と開発は互いにとても深く結びついており、個別に考えることはできないからです。当日の講演でも言及されているように、開発なくして平和はありえず、また平和なくして開発もあり得ないのです。これが私たちが最も関心を持っている問題です。

さらに、このシンポジウムは平和と開発に関する一般的な討議ではありません。私たちから見れば、副題Our Initiatives for a Better World(より良い世界に向けた私たちのイニシアティブ)も同じように重要なのです。平和と開発に関する問題、今の世代のリーダー達だけでなく、未来の世代のリーダーも取り組んでいく問題であると私たちは考えています。より困難で、互いに関連し合う様々なグローバルイシューに直面し、UNUジュニアフェローの皆さんが負う任務はより重大なものになるでしょう。問題は平和と開発だけではありません。人口問題や環境問題など、様々なものがあります。私たちはグローバルな複合問題間の接点に重点的に取り組もうとしているのです。

ブトロス=ガリ氏による提案の一部は、平和構築委員会の設立という形で二年前に実現されました。ブトロス=ガリ氏は、インフラ(社会基盤)の構築や社会経済の発展を含め、紛争を終結させ国造りに取り組んでいる国々を支援する必要性を提唱したのです。この平和構築という考えは国連の総会で検討、採択されました。平和構築委員会が設立され、今では幾つかの国で活動しています。これは「アイディア」が90年代半ば――正確には1992年――に生まれ、その後15年ほど経ってから実現された例です。どのようなアイディアも、実際に形になるまで時間がかかるでしょう。今日あなた方が討議することや平和や開発に関する議論は、今の時点ではかなり抽象的に聞こえるかもしれません。このシンポジウムはより良い世界を作ろうとする私たちの努力や取り組みの始まりに過ぎず、あなた方は若いリーダーとして様々な重責をその肩に担うことになるでしょう。

なお、このシンポジウムは全日程が英語で実施されたので、本書の出版に当たっては、コーチー・トン氏の基調講演、リャン氏のショートスピーチ及びワークショップの部分の翻訳は、伊藤宏美さんと小川尚子さん(ともに国連大学協力会職員)の手を煩わせました。その他の部分は、当日のスピーチのテープ起稿原稿にそれぞれの著者自身が、日本語で加筆・修正しました。

最後に、本書の出版にあたっては、(公財)国連大学協力会の森茜事務局長および(株)国際書院の石井彰社長に大変ご尽力いただいたことに心より感謝致します。

編者 内田孟男

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