国際司法裁判所・判決と意見 4 国際司法裁判所 判決と意見第四巻(2005-10年)

横田洋三・廣部和也・山村恒雄 編

1999年刊行を開始し、いまや国際法研究者必読の書として親しまれている。第4巻は2005-2010年までの国際司法裁判所の判決および勧告的意見を取上げ、事件概要・事実・判決・研究を紹介する(2016.8.1)

定価 (本体6,000円 + 税)

ISBN978-4-87791-276-5 C3032 533頁

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目次

一 先決的抗弁に関する判決 ――(二〇〇七年一二月一三日)

著者紹介

『国際判例研究会』(メンバー)

まえがき

はしがき

本書は、故・波多野里望先生が主催してこられた国際判例研究会の、国際司法裁判所の判決と勧告的意見を紹介する四冊目の出版物である。第一巻(一九四八―六三年)、第二巻(一九六四―九三年)、第三巻(一九九四―二○○四年)に続く本書(第四巻)は、二○○五年から一○年末までに出された国際司法裁判所の判決および勧告的意見をすべて収録している。

本来であれば本書は波多野先生のもとで編集され刊行されるはずのものであったが、二○○八年三月に先生がご逝去されたため、その後を引き継いだ横田洋三、廣部和也および山村恒雄の三名が編集の任にあたった。しかし、波多野先生はお亡くなりになる直前まで、療養中の不自由なお体を押して研究会に出席され、貴重なご意見をのべられ、研究会の活動に大きく貢献された。本書には先生が担当された事件は収録されていないが、ここに含まれている多くの事件について、研究会における先生の適切なご指摘がさまざまな形で反映されている。ここに国際判例研究会をこれまで長年にわたって主催してこられた波多野先生のご貢献に深く感謝し、ご冥福をお祈りするとともに、本書を先生のご霊前に捧げたいと思う。

国際判例研究会の成り立ちおよび過去数十年に及ぶ歩みについては、『国際司法裁判所―判決と意見』の第一巻、第二巻、第三巻の各「はしがき」に詳しく記されているので、ここでは繰り返さない。ただ、本書では、第三巻の執筆者でご高齢等で引退された方がおられ、替わって数名の若手が新しいメンバーとして加わっている。現メンバーは、本書の目次のあとにリストアップされている。

また、本書の編集にあたっては、第一巻から続いてきた以下の三点にわたる基本方針を踏襲した。

(1) 本書は、判決および勧告的意見の本文の紹介に主眼を置き、反対意見や分離(個別)意見は、必要に応じて「三 研究」の中で言及するにとどめた。これは、頁数に制約があるという理由にもよるが、それ以上に、「本研究シリーズのモデルともなっている横田喜三郎博士の『国際判例研究I・II』(有斐閣)の〈はしがき〉および髙野雄一先生の『判例研究・国際司法裁判所』(有斐閣)の基本姿勢を踏襲しよう」という意識によるところが大きい。

(2) しかし、判決および意見の紹介も、かならずしも「本文」の「忠実な翻訳」に徹しているわけではない。本文のあちらこちらで触れられている「事実」は「一 事実」にまとめてあるし、できるだけわかりやすくするために、思い切って削除したり、順序を入れ換えたりしてある。

(3) 本書の主たる狙いは、判決および意見を「批判」することにあるのではなく、「紹介」することにある。もちろん「三 研究」の中には、判決および意見に対して疑念を表明し、問題を提起している部分もあるが、それは、あくまでも、判決と意見の「客観的な位置づけ」を、読者により良く「理解」してもらうためにほかならない。その点にも、横田喜三郎博士および髙野雄一先生の基本姿勢が受け継がれている。

本書は、個々の事件については明示されている担当の執筆者が責任を負っているが、その内容については、国際判例研究会における検討と議論が反映されている。巻末の「事件関係裁判官総名簿」作成については山村恒雄が、また「索引」の作成については鈴木淳一が担当した。

最後に、本シリーズの第一巻から第四巻の本書まで、一貫して出版を快く引き受け、厄介な印刷上の注文にもいやな顔をせずに応じてくださった(株)国際書院の代表取締役である石井彰氏に対して、心からの謝意を表明する。

二〇一六年五月三一日

国際判例研究会のメンバー一同に代わって

横田洋三

廣部和也

山村恒雄

凡例

★ 本書を利用するにあたっては、次の点に留意されたい。

1 事件の名称

国際司法裁判所判決・意見集(I.C.J.Reports)または国際司法裁判所のホームページの判決・意見に記載されているタイトルの日本語訳を用いる。ただし、略称が広く一般に用いられている事件の場合には、目次および各節の表題に略称を併記し、かつ、欄外の柱にも略称を記載する。なお、当事国の表記は、一方的提訴の場合には「A対B」と「対」を、合意提訴の場合には「AおよびB」と「および」を使用している。

2 出典

従来は、国際司法裁判所判決・意見集の該当ページを各事件毎に掲載していたが、昨今のインターネット環境の整備により、国際司法裁判所ホームページより関連文書の入手が容易になったことと、判決・意見集の発行に時間を要しているため、事件毎の出典の明示は、省略した。本書に掲載している事件に関係する文書は、すべて国際司法裁判所ホームページ(http: //www.icj-cij.org)より入手した。

なお、本文中に表記されている(para.○○)、あるいは(○○項)は、国際司法裁判所判決集に収録の該当事件に表示されているパラグラフ番号である。

3 訳語の統一

国際司法裁判所関係の専門用語の中には、日本語訳が、一般の人にはわかりにくいものや、統一されていないものがあるので、本書では、裁判所規程・規則などの訳語にはこだわらず、なるべくわかりやすい訳語を統一的に用いてある。

  • (例1) application→ 訴状
  • (例2) provisional measures→ 仮保全措置
  • (例3) General List→ 付託事件リスト

4 文書の略記

しばしば引用される文献は、次のように略記されている。

  • I.C.J.Reports = International Court of Justice, Reports of Judgments, Advisory Opinions and Orders
  • P.C.I.J. Series A = Permanent Court of International Justice, Series A
  • P.C.I.J. Series B = Permanent Court of International Justice, Series B

5 「 」

原則として、原文を引用する場合に用いるが、要約して大意を示すために用いる場合もある。

6 段落

長い原文を限られた頁数にまとめてあるため、文中の段落は、原文の段落とは、必ずしも一致していない。

7 小見出し

判決本文にない場合が多いが、読者の理解を助けるために便宜的につけたものもある。

8 仮名表記について

文中で用いられる「及び」「又は」「並びに」などは、条約文等の引用以外は「ひらがな」で表す。接続詞の「従って」「但し」なども同じく「ひらがな」で表す。

9 研究部分における裁判官の敬称について

国際司法裁判所の裁判官につける敬称は、「判事」で統一する。ただし、特任裁判官については「裁判官」という敬称を用いる。したがって、共同反対意見などを書いた人がすべて国際司法裁判所に常時席を有する裁判官ならば「A、B、C各判事の共同反対意見」となり、その中に事件当事国によってその事件だけに選ばれた特任裁判官が含まれる場合には、「B、C各判事およびD裁判官の共同反対意見」となる。また、一般論として用いる場合にも裁判官という敬称を用いる。

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